編集こぼれ話

タイスポットの編集を行うにあたって、取材で感じた事や面白いこぼれ話を随時、紹介します。

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『M-1FAIRTEXムエタイチャレンジ2009 YodNakSuu vol.3』観戦記

 M1公式戦『M-1 FAIRTEX SINGHA BEERムエタイチャレンジ2009 Yod Nak Suu vol.3』が9月13日(日)ディフアー有明で開催されました。
この日は、13試合が組まれていて、後半4試合はWPMFのタイトルマッチになっています。
メインイベントは、ワンロップ・ウィラサクレック選手が藤原あらし選手と防衛戦を行います。
また、この試合はワンロップ選手の引退試合でもあります。

 筆者は、この日開場前につき、ムエタイ観戦初めてという方達と待ち合わせしていました。
「格闘技は好きだけど、ムエタイは観た事ない」という方達が身の周りにも結構います。
迫力ある生のムエタイを観戦すれば、きっとファンになってくれるでしょう。
そのような理解者を一人でも増やしたいと思っています。

 では、試合結果と観戦記をご紹介しましょう。

■第1試合 KATO-A.K.G(アブレイズキックジム) VS ○宮崎 徳也(クロスポイント吉祥寺) 
終始接戦でしたが、2-0の判定で宮崎選手が勝利しました。

■第2試合 ○久世 秀樹(WSRフェアテックス) VS GAKU(クロスポイント吉祥寺)
長身の久世選手が長い手足を活かして、序盤から攻勢を取り優位にすすめるも、後半GAKU選手が追い込む展開。
序盤のリードを何とか守り、2-0で久世選手が判定勝ち

■第3試合 △千佳子(WSRフェアテックス) VS △IZUMI(Studio-K)
女性ファイター同士の一戦は、終始接戦もお互い決め手を欠き、ドロー。
千佳子選手は、時より良いパンチを繰り出すも単発でヒットせず。

■第4試合 岡納 雅樹(堀切KMC桜) VS ○岩田 翔吉(フリー)
ジュニアのタイトルマッチ。
ジュニアは2ラウンド2分と短いので、お互い初回からガンガン飛ばす。
ジュニアと侮るなかれ、スピードがあり素人では危ない。(;^^)
終始攻めていた岩田選手が2-0の判定で勝ち、新王者となる。

スピードある両選手の攻防
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■第5試合 ○一戸 総太(WSRフェアテックス) VS 炎出丸(クロスポイント吉祥寺)
一戸選手優勢で迎えた3回、ポイントを取り戻そうとガムシャラに攻撃に出た炎出丸選手の右側頭部に一戸選手のハイキックが突き刺さりダウン。
意識が無いのか立ち上がれずそのままTKOとなった。
ムエタイでこのようなKOシーンは珍しいと思う。

■第6試合 赤羽 秀一(WSRフェアテックス) VS ○KING(土浦ジム)
隣で観戦していた方が、「素質だけで練習しない人と喧嘩もせずムエタイを始めた人が戦っているようだ」と表現していたが、妙に納得。
試合は、素質がある?KING選手が序盤から攻勢に出て一方的になるか?と思われたが赤羽選手が粘り、接戦になるもKING選手が序盤リードで逃げ切った。

■第7試合 ○ウィラチャート・ウィラサクレック(WSRフェアテックス) VS 板倉 直人(スクランブル渋谷)
常にロープを背負いカウンター狙い?のウィラチャート選手を板倉選手が攻めるも決め手を欠き、延長戦に。
延長戦でラッシュしたウィラチャート選手が2-1の判定勝ち。
板倉選手は左右のミドルキックを受け、背中まで真っ赤。
翌日は、かなり腫れるのでは?と思われる。

■第8試合 ○ファビアーノ・サイクロン(ターゲット) VS バンク・フェアテックス(タイ)
ムエタイでは珍しいヘビー級同士の一戦。
2~3週間前に腹をこわしたバンク選手だが、意外に元気そう。
試合は体重で9kg上回るファビアーノ選手が2-0の判定勝ち。

攻勢に出るファビアーノ選手(左)
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 ここで15分の休憩があり、その後タイトルマッチに出場する選手紹介が行われました。
タイ、日本、インド、マレーシアの国旗が掲揚され各々の国歌が流されました。

選手紹介のセレモニー(ワンロップ選手と藤原あらし選手の姿も)
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■第9試合 クリストポー・プルポー(スクランブル渋谷) VS ○ナルポン・フェアテックス(タイ)
ナルポン選手は本場タイの元4冠王者。
対するクリストポー選手は現全日本ウェルター級王者。
「タイのように賭けがあれば、ナルポン選手乗りだな」と思ったが、はたしてどうか。

ワイクルーを舞うナルポン選手(右)
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破壊力抜群のキックを繰り出すナルポン選手
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試合は、序盤からリードしたナルポン選手が終始圧倒し、大差の判定勝ち。
ナルポン選手は強かったが、目に輝きが無いのが気になった。
全盛期を過ぎてしまったのだろうか?

 ここからは、WPMFのタイトルマッチが組まれている。

■第10試合 パヤックイン・シットニワット(タイ) VS ○神村 江里加(ターゲット)
女子の試合は1ラウンド2分(男子は3分)で行われる。
タイトルマッチになると通常の3ラウンドから5ラウンドになり、採点は公開となる。
神村選手は初回からジュニアのようにガンガン攻め立てる。
スピードで王者を上回っているが、スタミナが心配された。

ガンガン攻める神村選手(右)
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心配されたスタミナは途切れる事なく、5ラウンドを乗り切ってしまった。
試合は終始攻めていた神村選手が3-0の判定で新王者となった。
嬉しそうな笑顔が印象的だった。

■第11試合 ○KENT(湘南格闘クラブ) VS ハックバー・ビン・ハナフィ(マレーシア)
KENT選手の試合を観るのは、これが3試合目。
早くからM-1関係者の間でも評価が高く、注目度の高い選手。
軽量級らしいスピーディな試合が期待できそう。

ワイクルーを舞うKENT選手(左)
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KENT選手は、パッと見タイ人選手かと思うほど真っ黒に日焼け(湘南の海で焼いた?)していた。
背筋が凄く、日頃の鍛錬の賜物であろう。
試合は、KENT選手が序盤から優位に立ち、一方的になるかと思われた。
しかし、そこからハックバー選手が気合みなぎる攻撃を見せポイントを取り返す。
最後は、序盤のリードを上手くまとめた感じで、KENT選手が逃げ切り王者についた。

スピードあふれるキックで攻めるKENT選手
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■第12試合 西山 誠人(アクティブJ) VS ○アバット・アハマド(イラン)
前回のM-1の興行で、2冠王の菅原選手を破り、M-1王者になった西山選手。
今回は、その勢いでWPMFの王座を狙う。
対するアバット選手は、イランの選手だがイランのムエタイ4冠を保持している実力派。
ワイクルーや試合のスタイルもムエタイ形式で、本場でかなり揉まれたと推測できる。

激しい攻防のアバット選手(左)と西山選手(右)
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試合は一進一退の攻防がくりひろげられ、どちらが勝つのか予想できなかった。
しかし3回アバット選手の裏拳ならぬ裏ヒジが西山選手の顔面を直撃。
大量の血が出血し、ドクターチェックの結果試合続行不能に。
西山選手にとっては、M-1王座をヒジ打ちで取り、ヒジ打ちでWPMF王座を逃すという何とも皮肉な結果になってしまった。

■第13試合 ワンロップ・ウィラサクレック(WSRフェアテックス) VS ○藤原 あらし(S.V.G.)
さて、待ちに待ったメインイベント。
13試合あると、観る方も結構疲れます。(;^^)
一緒に観戦された方達は、時間を気にする始末。
それはさておき注目のカードだけに期待が高まる。

これが最後の勇姿になるのかワンロップ選手
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おおっと、あらし選手は試合前からVサインか?
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ワイクルーを両選手が舞うとムエタイらしさを感じます。
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メインイベントはラウンドのハイライトシーンを掲載してお知らせしましょう。
第1ラウンドは、お互いに様子見で激しくは打ち合っていない感じで10-10のイーブン。

つま先まで良く伸びるキック。ガードも高い(体操のような採点があれば高得点か?)
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第2ラウンドは、早々からワンロップ選手が攻勢をかけ、膝蹴りや得意のヒジ打ちで攻め立てる。

強烈なひざ蹴り(痛そう!)
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野獣が獲物に襲いかかるがごとし(ひ~という悲鳴が聞こえそう)
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しかし、あらし選手の目は死んでいない!
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このラウンドは終始攻めていたワンロップ選手が、3人のジャッジから10-9の支持を得る。

第3ラウンドは、2ラウンドのポイントを取り返すべく、あらし選手が攻める。

あらし選手の『嵐の攻撃』
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あらし選手は、顔面にパンチ。足にローキックと打ち分けていた。
野球でもそうだが、左右だけでなく高低を使って攻められると相手は目がついていけず思うような対応が出来ない。
あらし選手は、この試合の為に入念に作戦を練り、みっちり練習をしてきたのだろう。
このラウンドは逆に10-9であらし選手が3人のジャッジの支持を得る。

第4ラウンドは、3ラウンド目にあらし選手の攻撃が上下に入り、ワンロップ選手は、その疲労が取れていない様子。
そこで・・・

クリンチならぬ首相撲
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ボクシングならクリンチとなるのだろうが、ムエタイでは首相撲という攻防になる。
パンチ、キックには見るべき物がある日本人選手も首相撲となると余り練習しないのか?威力が、ガタ落ちになる。
柔道ならば、寝技のような攻防が首相撲だ。
毎試合万全の体調で迎えられるとは限らないし、試合展開によっても思い通りの攻撃が出来ないケースも多々ある。
タイ人選手は、幼少からの長いキャリアで、状況に応じて対応できる『多くの引き出し』を持っている。
ヒジ打ちしかり、首相撲しかり。
日本人選手が対応しきれていない分野だ。

ワンロップ選手の足をご覧あれ。
左右の足が真っ赤に腫れ、痛々しい。
このラウンドは、耐える回と考えたのだろう。
終始首相撲をしかけ、10-10のイーブンで凌いだ。

 さて、泣いても笑っても最終ラウンドを残すのみ。
このラウンドをイーブンで凌げば、タイトルは防衛出来る。
ワンロップ選手は、まだ3ラウンド目の疲労が残るのか首相撲も時々しかけていたが・・・

最終回勝ちに出たワンロップ選手
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もし、今日の試合が引退試合でなかったら、誰に何と言われようと首相撲に徹していたかもしれない。
そうすれば、少なくともタイトルは防衛できただろう。
しかし、王者のプライドがそれを許さないのか、猛然と打ち合いに出た。
「ドローか?」と思えたが、ジャッジは、あらし選手の攻撃を優勢と見て2人のジャッジが10-9であらし選手を支持。
結局試合も2-0の判定で、あらし選手が勝ち、新王者となった。

 ワンロップ選手には、イベントでもお世話になり、微力ながら応援してきた。
26歳という若さで引退するのは、余りにも惜しい逸材だ。
本場タイでは、幼少期からムエタイの修業、試合を重ねているので、25歳ぐらいで引退する選手も少なくないそうだ。
柔道の山下選手など、若くして頂点を極めた人は引退も早い。
それと同じ現象か。
しかし、ワンロップ選手は15歳~18歳にブランクがあり、ムエタイを休んでいた。
その4年分を延長して欲しいと個人的には思う。

 今回の興行で気づいた事は、「功績のある選手にも引退セレモニーは用意されないんだ」という事。
試合に勝っていれば、ひょっとしてインタビュー形式で行われたかもしれないが、勝負の世界は厳しい。
敗者は、ただ立ち去るのみとなってしまい、残念でならない。

戦い終えて会場を後にする人々
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余談
 試合前に待ち人を待っていると、あらし選手のS.V.G軍団が姿を現した。
顔色を見ると、とても落ち着いていた。
きっと良い練習ができたのだろう。
今回の試合は、今まで通りの調整をしてきた王者と「打倒王者」で、チーム一丸となり王者対策から練習まで付き合ったS.V.G軍団の構造が頭をよぎった。
そう考えると、勿論あらし選手の殊勲であるけれども『チームあらし』の勝利とも言えそうだ。
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